『ケニア山の紅茶』産地の様子と支援活動

(2017/6)

講師紹介:富塚比咲子(トミヅカ ヒサコ)

学生時代の終わりに、ケニアとウガンダを旅したのがきっかけで、「ケニアと日本をつなげる仕事をしたい」と思うようになりました。2000年から4年間、在日ケニア大使館で働いていたとき、ケニア紅茶の美味しさと「紅茶を買うことが現地の小規模農家の支援につながる」ということを知りました。大使館の仕事をとおして、ケニア紅茶の買い付けをしている、ナイロビ在住の丸川氏(日本ケニア交友会ナイロビ本部代表)と出会い、大使館退職後、ケニアに研修生として雇ってもらいました。ナイロビ本部で7年ほど勤務、この間、定期的に製茶工場や農家を訪ね、茶畑から製茶までを学んでまいりました。2013年2月、交友会の神戸事務所の仕事を引き継ぎ、東京事務所を開設。これまでの経験と知識を生かしながら、「ケニア山の紅茶」の日本の窓口として、PRと販売を担当しています。
https://kenyatea.jimdo.com/

日本ケニア交友会というのは私たちが立ち上げた会ではなく、ケニア在住の丸川氏が代表を務める会で、紅茶を通してケニアの紅茶生産者を支援する会です。私が丸川氏に会ったのは2000年でその時私は在日ケニア大使館に勤めていました。これがきっかけで大使館を退職し、6年半研修生としてナイロビに勤務して紅茶農家の茶畑から生産までを学びました。

ケニアは東アフリカにある赤道直下の国ですが、首都ナイロビは標高1,600mあり高原の爽やかな気候です。西部は熱帯気候、モンバサなど沿岸部は高温多湿な気候です。面積は日本の1.5倍あり、人口は約4,000万人です。植民地時代は英国領でしたので公用語は英語とスワヒリ語になっています。観光資源に恵まれているため観光産業中心に見られがちですが、農業も盛んで国民の80%が農業に従事しています。コーヒー、紅茶の他野菜の栽培も盛んでヨーロッパ各地に輸出しています。

ケニアの食事はというと、主食はメイズとウガリです。ウガリはトウモロコシの粉を熱湯で練って蒸して作ります。その他に豆やお米もよく食べますし、野菜類は豊富ですので食材はバラエティーに富んでいます。お肉はヤギ肉をさばいてすぐに焼いて食べる料理が有名で、結婚式のご馳走などには必ずこれが振舞われます。

紅茶はもともとケニアにあったわけではなく、イギリス人がインドから1903年に持ち込んだものです。1963年に独立するまではケニア人による栽培は許可制でしたが、独立と同時に「ケニア紅茶開発局(KTDA=Kenya Tea Development Authority)」によって紅茶栽培を奨励するようになりました。初めは政府組織でしたが2000年に民営化されて、AのところがAgencyになっています。これは紅茶農家のための組織で、利益が農家に還元されるようになっています。

ケニアの紅茶産業は、小規模紅茶農家が60%、その他は大規模なプランテイションとなっていますが、約300万人が直接的、間接的に紅茶産業に携わっています。現在はKTDAのもとに67の製茶工場があり、紅茶農家全員がその株主で生産者協同組合のようになっています。製茶工場は当初世界銀行などからお金を借りて作りましたが、現在は借金もなく自立しています。ケニアの紅茶輸出量は世界第一位で40万トンにのぼります。茶摘みは全て手作業で、一芯二葉を手で摘みます。10日から14日で新芽が出ますので月曜日から土曜日までの5つの区画に分けて順番に摘むことで茶樹のメンテナンスになっており農薬を使わずに育てることができます。5500戸の小規模農家の茶畑は平均2000平米で1日摘んで1人24kgくらいです。これをバイイングセンターが計量して、100葉調べて75%良質であれば買い取ってくれます。

日本ケニア校友会の発足は、1970年代後半にケニアを訪れた代表の丸川がお土産として買ったケニア紅茶の評判が良かったため卸問屋から20〜30kgの紅茶を購入したことに始まります。その後200~300kgと買い付け量を増やし、250gに詰め直し神戸の共同購入グループに納め始めました。1988年に日本からの紅茶視察団がケニアを訪問した時、JETROナイロビ事務所がケニア紅茶の唯一のバイヤーである丸川氏をガイド兼通訳としてケニア国内にある紅茶産地視察に同行しました。これをきっかけにKTDA傘下の紅茶工場に行けるようになり、日本の紅茶会社との関係もでき、KTDAを通して工場から直接トン単位(約2.5t)での買い付けが始まりました。1992年当時支援していた水プロジェクトからギドンゴ製茶工場を紹介され、以来ずっとギドンゴから直接紅茶を買い付けています。2013年に日本での窓口を神戸事務所から東京事務所に移管し現在に至っています。

バイイングセンターは農家への情報伝達の場所でもあり、「農薬を使わない紅茶栽培のお願い」のポスターを校友会と製茶工場のコラボで作成し、農薬不使用を実行してもらっています。茶摘みのシーズンは日本のように年一回ではなく一年を通して1~2週間のサイクルで新芽が出ますので、きちんと作業を続けることで茶畑のメンテナンスにもなり安定した収入が得られます。以前は秤を使って軽量していましたが、3年前からデジタル化されて記録も正確にデータとして残るようになりました。おかげで待ち時間も少なくなり、すぐにまた仕事に戻れます。マネージメントの部分はKTDAから派遣された人がやっています。

工場での製茶過程は、良質の茶葉を再軽量したのちに先ず生茶の水分を63~65%にしてからCTC(Cut/Crush, Tear and Cut)の機械にかけます。次に茶が持つ酵素と熱で100分くらいかけて酸化発酵させたのち水分3%ほどに乾燥させます。メッシュを使ってサイズ分けして出荷となり、摘んだ日の翌日には出荷されます。ケニア紅茶は細かくカットされるタイプです。製茶工場ではボイラーを使いますが、燃料に重油を使うとコストが数倍になりますので、燃料は薪を使っており燃料用に植林もして農家から木を買い取っています。工場のマネージャーと農家の代表6人で相談して全て運営されています。出荷されるとモンバサまで運ばれ、コンテナ船で神戸港まで運ばれます。木のパレットを使うと虫の混入が考えられますのでクラフト紙で保護しながら積み込みます。

日本ケニア交友会では1992年から紅茶を継続的に買い付けており、産地にある19の公立小学校へ一年間で各校3万円くらい寄付をし、優秀な高校生へも奨学金支給プログラム

(2017/6)