アフリカに生きる~愛にあふれた未来を夢見て~

(2016/6)

講師:相原功志
1972年埼玉県岩槻市生まれ、
15歳の時にアフリカの飢餓難民の男の子の写真に衝撃を受け、以来アフリカを思い続けた。
27歳でアフリカ初上陸。新潟大学医学部卒業後に研修医生活を送りながら準備を整え、
2003年31歳よりアフリカの地に根付く。
奥様であるジャシンタさん、のぞみ7歳、ひかり5歳と共にケニア共和国ナマンガで生活する。クリスチャン。

 最初に、スワヒリ語で2人のお子さんを紹介し、普段の生活を再現してくださいました。3人は赤地に黄色い星の顔がついた、キラキラプロジェクトのTシャツを着ての登場でした。

 これが私の2人の娘です。~私はのぞみ相原です。7歳です、有難うございました。私はひかり相原です。5歳です、有難うございました。元気ですか。元気です。ケニアの国旗のこの色は何ですか。黒。これは何色ですか。赤。これは何色ですか。緑。黒は人々の肌の色。白のストライプの意味は平和です。赤は独立を勝ち取る時に流した血の色です。その事を忘れるなという意味です。緑は草の生えた大地を象徴しています。真ん中の盾と槍は戦いを表しています。ここまで2人に質問に答えてもらったあと2人でケニアの国歌を歌ってくれました。有難うございました。

私とキ・アフリカの関係ですが、新潟大学に在学中すでに将来はアフリカで支援活動をするというヴィジョンがありました。その後実際にアフリカに行くに当たってアフリカで活動している団体を検索しているうちにキ・アフリカに行き当たりました。毎月例会を行ないアフリカに興味のある人を集めて情報の交換をしているということで、2002年の始めころに初めて参加し、将来の計を話しました。その後アフリカで生活を始め、ジャシンタと結婚したことなどをすべて報告してきました。2005年に初めて帰国した時に、定例会で2年間の活動をお話しさせて頂きました。2年おきに報告をしていますが、今回は最近の変化を含めてお話しさせていただきます。

 国境の町ナマンガは、標高が1500mくらいで赤道直下に近いのですが、湿度が低くそんなに暑くありません。ケニアの首都ナイロビは人口400万人、ケニアの人口は4000万人です。ナマンガという名前は現地語でマンガと言っていたものをイギリス人が言いやすいようにナマンガに変えてしまったようです。最近道路が整備されたためにビジネスチャンスを狙って他から移り住んで来る人も増えましたが、目先の利益だけを考えて努力をしない人たちですので、成功することはありません。

 私のパートナーであり妻でもあるジャシンタは、3人姉妹の一番下で、亡くなったお姉さんの子供を引き取って育てていました。6歳のころから小さい子供の世話をしていたそうです。ジャシンタは小学校に上がりましたが、その時の入学試験は右手で左の耳に触れる事ができるかどうかというものでした。苦労しているジャシンタを見かねて親戚の叔母さんが引き取ってくれることになり、そのあとは叔母さんを助けながら学校に通いました。大勢の兄弟たちの中でジャシンタだけが高校まで進学して、卒業後保育園で仕事をしていました。その頃私と出会ったわけです。私も大きな企業から派遣されたわけではなくゼロからの出発でした。現地で教育の必要性を強く感じましたが、政府が力を入れていない部門は児童、幼児教育部門だということに気付き2004年にキラキラ保育園を15人の児童からスタートさせました。2010年以降は100人規模で推移してきました。

 アフリカという所は、2つの大きな問題を抱えています。1つは植民地支配を受けてきたことで、外国人に対するアレルギーが強いことです。もう一つは諸外国からの援助慣れです。そんな中で私が急に現れて少ない資金で何かを始めてもなかなか信用されませんでした。スパイかもしれないと思われ、石を投げつけられ軽蔑される辛い時期もありました。ケニアはイギリスの影響で、スーツを着た男性が重んじられ、立派な外見の学校なら納得するという傾向があります。私は、それとは正反対で汚い服装をしていましたが中身で勝負しようと思いました。楽しい学校で才能を伸ばし、自立を支援することを目標にしました。時間はかかりましたが、徐々にキラキラの良さが認められ尊敬されるようになり、小学校をつくって欲しいと言われるまでになりました。将来キラキラを担っていける人材を育てたいと思っています。この15年でケニアは大きく変わり、伝統的な生活を捨てて貨幣経済中心の生活になりました。マサイ族も伝統的な衣服を捨て洋服を着てスマホを持つようになっています。

 現在は、毎年小学校の学年を増やすために建設を続けています。建設に携わる人の日当は500円から1000円です。15年前は100円でした。セメント一袋50㎏が100円くらいです。8m×8mの教室をセメントで作るのですが、男が3人で床に2日かかります。費用は人件費を含めて床だけで3万円かかります。基礎工事から始めて、屋根や窓を作り、塗装をして完成させるのに約50万円かかります。これは私が現場監督をしているからで、もし業者に頼むと200万円から250万円かかります。というわけで今年の1月から3年生も始まりました。
 ナマンガを航空写真で見ると、近くにアフリカ縦断ハイウェイが通り、北に行くとナイロビ南に行くとタンザニアを通ってケープタウンまで行けます。世界銀行が主導しながらJICAなどが協力して建設しています。2000年以降最後のフロンティアとしてアフリカに投資が集まってきています。道路を整備することで大きな経済効果を期待しているわけです。日本のJICAやODAも協力しています。私も魚をよく食べますが、ビクトリア湖で日本の水産業者が魚の養殖をしており、走っている車はトヨタか日産です。日本はケニアで好感を持たれている国の一つです。

 幹線道路が近くを通っているため今は交通量が激しく以前にはなかった状況が起きています。1~2年生の校舎と3~8年生の校舎の予定地は6km離れていますのでスクールバスを導入することにしました。昔ならば歩ける距離なのですが、今はトラック輸送が激しく危険で歩けない距離になってしまいました。12年前のナマンガでは車は20台くらいでしたが、今は200~300台です。それに伴って交通事故も増えています。また妙なカルト宗教が増え始め、子供を誘拐して生贄にするなど異常な事態が起きています。今ではどこの学校でもスクールバスを持つようになっており、キラキラも導入することにしました。日本から直輸入しようかと思ったのですが、現地で組み立てている日本車を買いました。しかしいろいろ問題があって、直輸入にするべきだったかなと思っているところです。

 キラキラで出している給食は、一人一日18円くらいです。食料品は日本の1/3から1/4くらいですが、何とかやりくりして提供しています。将来的には援助をせずに自分たちで経営することを目標にしていますので、マイクロファイナンスを始めました。小規模金融ということです。普通の銀行では相手にされない金額を預け借りることが出来ます。1000円あればヒヨコを5匹買える、これを数か月育てればニワトリ5羽になります。ニワトリ5羽を売れば5,000円になります。この最初の1000円がない人たちに貸して5%の利子を付けて返してもらうのでお互いに利益があるわけです。マイクロファイナンスを始めて1年半くらいです。勿論不良債権もあり、横領もありましたが、それも見越して何とかやっています。

 2000年以前は、アフリカは貧しい世界であると同時にお金を使う必要のない環境だったといえます。しかし2000年以降は、多くの支援団体が入り経済成長が目覚ましくなりました。生活できない人もほとんど無くなりましたが、以前1ドルで生活していた人が今は2ドルかかるようになりました。ある程度お金が必要なのと同時に格差社会になって億万長者もたくさん出てきました。キラキラでは支援を求めていますが億万長者は支援してくれません。金銭欲のとりこになって、まともなビジネスをやっていません。麻薬の取引などもニーズがあれば平気で手を出します。取り締まる立場の役人や警察も賄賂をもらって見逃すことでお金持ちになっています。また今一番問題なのは土地問題です。50万円だった土地が今は1000万円になっています。自分の土地ではない所を法律の目をくぐって私有化するための黒幕もいます。キラキラ小学校の土地も奪われそうになりました。土地関係の書類を偽造し、役所にある書類を破棄するなど最悪の事態になっています。誰がそれをやっているかというと、昔教育を受けた賢い人たち、政治家、公務員、地元の有力者、教会の牧師、国民のために貢献するべき人たちが、まるで反対のことをやっているわけです。

 教育が経済成長のためだけではなく、将来は支援の必要のない社会を目指さなければなりません。教育も原点に帰って愛情をこめて子供を育てる必要を感じます。キーワードは「愛」だと思っています。愛を育てるためにはお互いに愛を注ぎあわなければいけません。キラキラはまだ支援を求めています。キ・アフリカの存在自体が目に見える形でも見えない形でも愛に他なりません。感謝をこめてキーワードは「愛」だということをお話しさせていただきました。有難うございました。

(質問より)
*マイクロファイナンスは、今のところ全く政府の規制はなく、ナマンガにも20件くらいあります。大体はCPOなどを立ち上げて運営しています。登録されているものも、いないものもありますが、将来規模が大きくなってきたときには登録が必要になると思います。大きくなって銀行になったケースもあります。今のところお互いに知り合い同士でやっており、将来は何らかの監視システムを設ける必要は感じているところです。期間は1月から12月までの1年間で清算しています。行方不明と横領事件がありましたが、町の人間だったので今少しずつ返してもらっています。
*スクールバスに関しては、買った費用は500万円くらいですが、保険が毎年20万円、バッテリー交換、オイル交換、がたがた道ですので消耗が激しく部品がナマンガでは手に入らない、など問題が多く今のところ赤字ですが、2~3年で採算を合わせるつもりではいます。