コートジボワールでの金融活動支援

(2016/6)

講師紹介:
【アフリカ講座】品川夏乃:早稲田大学
2007年-2008年 ウガンダに交換留学
2009年 コートジボワール、マイクロファイナンス社でボランティア

早稲田大学の品川夏乃と申します。ご紹介いただいたように2007年から2008年の夏までルワンダのマケレレ大学に留学して帰ってきたのですが、今回フランス語圏のアフリカで活動しているマイクロファイナンスという会社でインターンをすることになり、去年の6月半ばからパリで3ヶ月過したあと西アフリカ、コートジボワールのアビジャンに3月の中旬までいました。

初めにどういった会社かということを説明しますと、この会社は社長とカメルーンでサッカー選手として活躍していたパトリック・エンドマという人が出資して、アフリカのために何か出来ないかと考えて設立した会社です。現在ヨーロッパに行っているアフリカの出稼ぎ労働者(ディアスポラ)が数多くいますが、世界中からアフリカに送られる援助額よりもアフリカのディアスポラによって送られる送金額の方が大きくなっています。これは世界中どこでも言えることのようです。

例えばお兄さんがパリで働いていて、そこへ弟がお金を送ってくれといったとします。お父さんが病気だから2,000ユーロ送ってくれといわれてあわてて送るわけです。そしてそのお金がどのように使われているかが重要な問題なのです。名目上はお父さんが病気だからといって送られてきたお金も飲み代に使ったり、遊ぶお金や洋服代になったりします。このことが今かなり問題になっています。

私が働いていた会社では、本当にカメルーンにいるお父さんが病気だとしたら、パリの18区にあるエージェントと連絡をして提携している病院を通じて、お金を送るのではなく医療サービスを行うということをやっています。このサービスは主に、医療、教育ですが、アフリカでのオンラインショップを作って物を売るということもやっています。今アフリカでも中産階級が増えており、この人たちはデジカメやアイポッドが欲しいと思ったときに、アフリカで買うと高いのでヨーロッパにいる人にたのんで買ってきてもらいます。

こういうやり方は地元の経済にとって良くない事なので、アビジャンで働いているホワイトカラーがオフィスでネット通じて買い物が出来るようにと考えました。アビジャンではラマダン明けやクリスマスには大量のお金を消費します。クリスマスのプレゼント代だけでも6万円くらい消費していました。これを海外にいる家族にたのんで犠牲祭のニワトリを5羽家族に贈りたいと言ってたのんだとしますと、我々のオフィスに来てくれれば地元で調達した品物を手渡すことが出来ます。こうすることによって効率的に地元の経済を活性化することが出来るわけです。

あとは遠隔医療です。例えばヨーロッパの医師とアフリカの地方にいる医師がスカイプなどを使って連絡を取り合い、カルテを共有して医療行為を行っています。またアフリカで今熱いのは携帯電話を使った送金サービスです。ケニアのサファリコムという会社が始めて、現在では携帯電話会社はどこでもやっているサービスでかなり普及しています。ウェスタンユニオンやマニグラムにたのむと手数料がかかってしまいますが、500~600ユーロ分などたいした額でない場合、また銀行口座が無くても携帯電話さえ持っていればエージェントに行くことで利用できます。スラムに住んでいる人や身分証明書の無い人でも携帯電話の番号を使ってSMFシステムから送金することが出来るのです。

アフリカでは携帯電話の会社が一番ネットワークを持っています。地上の電話ですとケーブルを通すなど工事が大変ですが、携帯電話の場合は一つ大きなアンテナを建てることで広い地域をカバーできるので、アフリカにとても適していると思います。また従来の銀行の金融システムが通用しないので、もっとアフリカに適応した形のものが求められているのだと思います。そういう意味でサファリコムや遠隔医療の試みは面白いと思います。

次にコートジボワールのことを少しお話ししますと、今ワールドカップが行われていますが、サッカー熱はすごくて例えば6時に試合があるときは朝から仕事をしている振りをしているだけで2時頃になると帰る支度をして、4時頃になるとアビジャン市内は車がスタックして全く動けなくなります。コートジボワールは独立後もフランスとの関係が良好だった国で、経済的にも政治的にもフランスのコントロール下にある感があります。1970年から80年にかけてコートジボワールの奇跡と言われるほど発展しました。最初の大統領ウスゴエは大変な広いお堀に囲まれた日本の皇居くらいのところに住んでいて、明らかにお金を着服すると同時に国へも還元していましたので誰からも建国の父として認識されていました。

しかし大統領の死後2002年にフランスが内政に干渉したことから内戦があり、治安はよくないと言われていますが、今は正常に戻ってきています。アビジャンに着いて一番驚いたのは飲み物がビンではなくペットボトルで売られていることでした。南アフリカではペットボトルでしたが、他のアフリカ諸国では今でも殆どビンで売られています。内戦のことは国連やフランスが報道したために大変なことのように思われていますが、実際にはちょっとした危機だったに過ぎないと言われています。

コートジボワールは大体四角い形をしていますが、横に半分に割るような形で北半分は反政府軍のコントロール下に置かれています。以前北の方へ「仮面の踊り」を見に行った時に、大変だ!日本人が来ているといって騒がれてラジオに出る破目になったことがあり2時間しゃべりましたが、そのラジオが反政府軍のラジオでした。コートジボワールも汚職が蔓延していて、政府軍がコントロールしている南側に行きますと警察が腐敗していて夜の9時を過ぎると皆外に出たがりません。何故かというと警察が勝手に関所を設けて車を止めてはお金を取るのです。大体1,000セーファ(約200円)、いい車だと2,000セーファになります。その上権力を誇示したがるので大変です。これが反政府軍の地域に行くと全くこのようなことは無く、多少お金を払うことはあっても南側のような煩わしさはありませんし、とてもにこやかで親切です。

住民にとって実際にはどう違うかと言うと、インフラ整備や国連関連事業はやはり政府側中心になりますが、食べ物などは豊かな国ですので全く問題ありません。選挙があると言われながら既に数年たってしまい、2月に行われると言われた選挙が持ち越しになったことから、そろそろ限界に達したようで2月には暴動が少し起きていました。今は落ち着いたようですがどうなるか心配です。

マイクロファイナンスは、マイクロクレジットとは違ってお金を貸すのではなくお金の流れを良くする事業に取り組んでいます。また寄付とは別の形でHPを見て小さなパン屋さんなど、顔の見える相手に投資するというシステムも出来てきています。このようにアフリカの低所得者のために何が必要かを考えて活動している会社です。