ザンビアにおけるHIV陽性対象者 収入向上活動とグッドネーバーズの活動

(2012/2)

講師紹介:本城史絵さん
2006年10月から2008年10月まで、青年海外協力隊としてザンビアのチョングェ郡でHIV陽性者対象の収入向上活動に従事
現在、グッドネーバーズ・ジャパン

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グッドネーバーズ・ジャパンの本城と申します。私は大分前になりますが、2006年10月から2008年10月まで2年間青年海外協力隊でザンビアのチョングェ郡でエイズ対策隊員として活動していました。特にエイズ対策と言っても保険関係のバックグラウンドがなくても参加できる隊員で、私は8日間の研修を受け合格して行き、チョングェの活動グループに入って彼らの収入向上活動をサポートするということをしていました。

HIVというと予防対策をイメージする方が多いのですが、ザンビアでは予防ケアの方はもちろん感染者のサポートをしないととても間に合わない国ですので、感染者へのケアをしていました。タイトルは「ザンビアPLWHA」です。

ザンビアは日本の2倍の広さがありますが、人口は1/10で73部族あります。公用語は英語ですが他にベンバ語、ニャンジャ語、トンガ語など7言語が使われています。丁度サッカーのアフリカ選手権が行われていてザンビアが優勝したので大変な騒ぎでした。次の日は誰も会社に来ない、保健省のお役人もちょっと顔を出しただけで帰ってしまったそうです。給料日にはみんなお金をおろしに行ってしまい学校の先生も出てこないというような国です。ジンバブエとザンビアの間にヴィクトリアホールズという世界最大の滝がありますが、5月の雨季に行くと満月の夜月明りにルナレインボウと呼ばれる虹が出ます。これはお勧めです。

現在のHIV感染率は14.3%となっています。国民の7人に一人は感染しているという状態です。平均寿命が38.63歳、乳幼児死亡率も高くなっています。HIVのウィルスを抑える薬が2005年に無料化されてから陽性者に対する差別も少なくなってきているようです。感染経路は性感染、母子感染です。母子感染は何も対策を取らなければ30%位ですが、帝王切開や母乳を与えない、薬を飲むということで3%に減ります。あとは出産時に産道を通るときに感染することもあります。2010年頃からザンビアを含むアフリカの地域でHIVの状況はよくなってきているというレポートが報告されています。世界的に見ても今新規感染者は減ってきています。薬が出来たために死亡することがないため感染者の数は減っていませんが、新規感染者は減ってきています。PLWHAとはHIV/AIDSとともに生きる人々を指しており、HIV陽性者対策に取り組んでいる国では普通に通じる言葉になっています。

私個人の活動としては、HIV陽性者の就業向上支援というものです。この地域のIGAをバイクで巡回して支援しましたが、小さい所は50名、大きい所は350名くらいのグループでした。IGAというのは収入向上活動のことで、あらかじめ用意されているものもありましたが、私が始めたものもあります。メジャーなのは農業経営、養鶏、養蜂、野菜作りなどです。

私が入ってから始めたものにポストカード作りがあります。ポストカードというのは、少しでも収入を向上するために何をしようかと考えていた時、私が作っていた年賀状がザンビア人の目に留まって、始めたものですが小規模ながら利益を上げることが出来ました。厚紙をはがきサイズに切って、その上にキテンゲという布の端切れを無料でもらってきてザンビアらしいモチーフ、象さんや女性の形に切って貼り付けるというものです。これを約100円でマーケットに出して、売れると作った人に500クアジャ、約15円還元されるシステムになっています。1年半やって11万円の利益なのでたいしたことはありませんが、この11万円で何が出来たかというと、直接現金が個人に渡るということでグループのモチベーションアップにつながりました。グループでやっているとなかなか個人にはお金が渡りませんので、このシステムは大変喜ばれました。また利益の中からAIDS孤児の制服の生地代、訪問介護用自転車の修理代、マイクロクレジットの初期費用などに充てていました。ザンビア人は、はがきを書く習慣がないので、品質を管理してゆくには外国人の目線で見て大きさ、形も決めなければならず、今後これを自分たちだけで続けられるかについては課題が残っています。

養鶏では肉を取るブロイラーと卵を取るレイヤーというのがありますが、私がやっていたのは産卵率の管理で、運転資金をキープしながらその管理をしていました。売り上げた資金で次の若鳥を買わなければ産卵率が下がってしまいますので、その辺の管理をしていました。あとは小さすぎて売れない卵を直接お店に持ち込んで売ってくるという飛び込み営業もやりました。

養蜂もどこかの援助で器具を買って、技術指導も受けてスタートしていたのですが、彼らはバケツに入れて安く売ることしかしていなかったので、それをマーケットで売れる商品になるように瓶詰めにしてしゃれたラベルを貼るなどの指導をしていました。これは利益率が高く回転していたように思います。蜂蜜を取った後の蜜蝋でろうそくが作ることが出来るのですが、これもインターネットで作り方を調べてやりました。ザンビアでは蜂蜜を収穫するのは蜂がおとなしくなる夜中だということで、養蜂家の家に泊まって収穫を手伝いました。蜂蜜は蜂の巣ごと食べるととても美味しいのですが、これを食べていて口の中を刺されてしまい大変な思いをしました。蜂を追い出すには牛糞を燃やしてその煙を使いますが、ここでは古タイヤを燃やしてその匂いで追い出していました。しかしそのくさい匂いが蜂の巣箱に残ってしまい蜂が戻ってこなくなるのであまり良い方法ではありませんでした。私がやった支援の中では養蜂が一番良かったと思います。個人的な収入にはなりませんが、養鶏のように毎日世話をするというのではなく片手間にやりながら利益率の良い仕事でした。

蜂蜜は免疫力が高まって陽性者にもいい食材です。また陽性者と言っても暗い感じではなくお祭りなどにも陽気に参加しています。ザンビアの人たちはダンスも大好きですが、聞いた話ではアフリカのダンスはその国のある位置をよく動かす踊りだそうです。ザンビアは下の方にあるので足をよく使い、コンゴは真ん中にあるので腰をよく使い、エチオピアなどは上の方に位置しているので肩や首をよく使います。

この後はグッドネーバーズ・ジャパンについてお話ししようと思います。海外協力隊を終わった後、縁があってグッドネーバーズ・ジャパンに就職し広報スッタフとして約3年働いています。国際NGOで世界20か国以上の地域開発や緊急支援を行っています。日本では9か国をサポートしています。珍しいのは韓国発祥のNGOで2年前に亡くなったパク・ヨンハさんがグッドネーバーズの広報大使をしてアフリカのチャドで学校を作るための募金をし、日本のファンも協力してくれて420万円くらい集まったので学校を建てたことです。グッドネーバーズの柱は子供の権利を守ることで、コミュニティー開発と緊急支援という2本の柱を掲げて活動しています。農業、職業訓練、医療などいろいろな側面から子供を守る活動をしています。

東アフリカの干ばつは去年の8月くらいから問題になっていたのですが、2010年からほとんど雨が降らず、60年に1度と言われるような干ばつに見舞われました。グッドネーバーズ・ジャパンはエチオピア南部のオロミア州ベルベレ郡、首都のアジスアベバから529㎞という所で活動していましたが、道が悪くてアクセスの難しい所でした。支援内容は2か月分の食糧支援、穀物や豆、加工栄養食品などです。政府関係者の協力なしに支援はできませんが、職員のモチベーションを上げるのが非常に難しく、また保存してある支援物資も配られないままかびているという状態でした。そこで新たに調達したわけですが、それをトラックに積み込むときにもすり替えられる可能性があり簡単な作業ではありませんでした。

そんな中で支援の時に通訳やドライバーをしてくれた人によると、今は外国の人たちがたくさん入ってきて助けてくれているけれど、これは普通の状態ではなく本当は自分たちで頑張っていかなければいけないのだよ、と子供たちに話したという事でした。現地にもこういう教養のある人たちがいるのだということを知って心強く思いました。グッドネーバーズ・ジャパンの会員は10人位なのですがサポーターが900人位います。今回の緊急支援の時はJPFから1000万円の助成金を受け取って活動しました。