ザンビアの栄養教育プロジェクト活動報告

(2018/1)

プレゼンター: 伊藤憲子(イトウ ノリコ) 創価大学法学部
小野里由香(オノザト ユカ) 創価大学教育学部
中村美佳(ナカムラ ミカ) 創価大学教育学部

今日は、私たちが行なった「ザンビア栄養啓蒙プロジェクト」についてお話しさせていただきます。まずは自己紹介からさせていただきます。

小野里由香と申します。大阪府枚方市からまいりました。創価大学の5年生ですが3年次から臨床心理学を専攻しましてジョージア州立大学に長期留学をして4年次に戻ってきました。今年4月から就職することになり大阪府庁に配属されることになっています。

創価大学教育学部教育学科5年生の中村美佳と申します。東京生まれで、大学では国際企画教育学科に所属しており、3年次に香港中部大学に留学しました。そこでは教育学よりもマーケティングやマネージメントなど経営に関することを学びました。今年4月からは日立製作所で働くことになっております。

創価大学法学部4年生の伊藤憲子と申します。新潟県出身で、法学部なのですが公共政策を中心に学んでいます。3年次にはケニアに交換留学で行ってきました。4月からはコンサルティング会社で働くことになっています。この3名で活動の報告をしたいと思います。

そもそもの経緯は、グローバルシティズンシッププログラムというものに大学で出会い、世界的課題に取り組むことにしました。2年次の授業の一環として慢性栄養不良に着目し授業の中で提案をして、活動を始めました。栄養教育を使ったアプローチをするにあたり、その教材開発を約1年使って行いました。

栄養不良には大きく分けて2つあり、急性栄養不良と慢性栄養不良があります。エネルギーが不足してしまい痩せ細るのが急性栄養不良に当たります。慢性栄養不良は長期間にわたってビタミンやミネラル、タンパク質などの栄養素のバランスが取れていないことによって起こるものです。急性栄養不良に関しては、国際機関や多くのNGOなどが積極的に対策を試みていますが、慢性栄養不良は、今後大々的に起こりうる問題であるということから慢性栄養不良に着目しました。急性栄養不良に比べて見た目では分かりにくいのですが、一度罹ってしまうと一生涯影響を受けるというのが慢性栄養不良です。

具体的な症状としては、生産性の低下、認知能力の低下、免疫力の低下、発育阻害の4つだと思われます。発育阻害は生後1000日に発症して生涯続いてしまうというものです。世界で見ると5歳未満児の23%という数字が出ております。現在行われている取り組みは、短期的にはサプリメントの供給、穀物の供給、栄養を強化した食品の供給など、長期的には農家の生産性の向上、災害や気候変動に強い作物を育てること、教育環境の整備などが挙げられます。この問題に着目し学生として何ができるかを考えた時、すでにこの問題に取り組んでおられるアライアンス・フォーラム財団にアプローチさせていただきました。ザンビアは低身長の割合が最も高い国ということで、アライアンス・フォーラム財団ではザンビアで高栄養の藻「スピルリナ」を活用した慢性栄養不良改善に取り組んでおられます。

ザンビアでこの問題が起きている要因は、人々の栄養への知識の低さだと考えられます。食べ物が足りないのではなく、バランスのとれた食生活という概念がないため好きなものを食べていれば良いという感覚なのです。そこで私たちができるアプローチとして、栄養教育を一つの手段とすることにしました。具体的には、日本で栄養教育の教材をつくってザンビアに送り、現地で継続的に栄養教育をおこなってもらうというものでした。子供たちが使う教材と先生のための指導マニュアルを作りました。

アライアンス・フォーラム財団にご協力いただいて1年間をかけて教材を作りました。教材の内容は、第1段:体の器官と役割、第2段:慢性栄養不良が体に与える影響、第3段:乳幼児期の栄養、母乳と離乳食、第4段:6つの食品群の役割、バランスの良い食事、となっています。現地の状況を考え合わせると、講義型の授業よりも体験型の授業の方が良いということになり、その方針で教材を作成することになりました。企画ができた段階で、指導書と補助教材の2チームに分かれて作業しました。現地の食事の写真など財団に協力いただきました。原案ができた段階で内容の確認と現地の学生の教育レベルにあっているかなどを財団に確認していただき、修正を加えて完成となります。指導マニュアルには、授業の狙いと内容が示されています。内容に対してどのように教えていくかという教材の活用方法、時間の割り当てが書かれています。

第1段では体の仕組みと役割を学ぶことで、食べた食物が体を作ることから栄養摂取の重要性を述べています。体の器官のイラストと名前のかるたを作成しました。第2段では慢性栄養不良の症状について学びます。慢性栄養不良の脳と健康な脳を比較し、視覚に訴えることにしました。また成長過程の紙芝居を作り、その違いを強調しました。第3段では乳幼児期の健康ということで、母親に向けた内容となっています。母乳から離乳食に変えるタイミングや、回数、母乳が出ないときの対処法などです。目で見て分かるようにポスターにまとめ、授業の前に復習として○×クイズをすることにしました。最後の第4段では、6つの食品群の役割を示した上でバランスの良い食事の重要性を示しています。私たちが作成した教材はだいたいこのようなものです。

この教材を使って現地で栄養教育を行いたいと強く思うようになりましたが、給食費用と渡航費の問題がありました。しかしクラウドファンディングを2ヶ月間行い運営費と渡航費の一部を集めることができました。ファンディングのリターンは、ザンビアのお土産と子供達のサンクスレターを贈りました。栄養教育の時間はあると聞いていましたが、訪問した1週間という限られた中ですので特別に調整していただきました。対象は6年生から9年生まで、9歳から20歳前後までの生徒です。

現地のプロジェクトは2016年の3月14日から20日までの1週間行いました。場所はアライアンスフォーラム財団が支援をしていた小学校で職業訓練学校のようでした。学校の中にパン屋さんがあり、働いているのは障害を持った方たちでした。校内に牛や豚などの家畜を飼うコーナーや人の居住区もありました。この小学校はルサカ市にあって貧困家庭の多い地域でした。

授業は4つのクラスで、各2回計8回行われました。この授業の位置付けは第5段目のプロジェクトになります。現地の方々が栄養教育を行っていたにも関わらず不定期であったため知識の定着が見られなかったので、これを改善するために、生徒たちの知識の定着、持続的な栄養教育の構築、を目標にしました。先生が1人で対応していたため今後は少人数の教室を考えることが提案されました。教える側の人手不足を解消するために私たちは上級生6人を巻き込んで授業を行うことにしました。

授業は各クラス2回行いましたが、1回目はこれまでの復習、2回目はワークショップを行いました。これまで学んできた人たちに栄養価の高いスピルリナの存在を知ってもらうことにしました。スピルリナについては、事前に財団の方達が給食の中で配給していましたが、緑の粉末状のもので見た目が悪く匂いも強いので受け入れられない状態でしたので、若いうちからスピルリナを知って抵抗感をなくしていきたいという意図もありました。急性栄養不良と慢性栄養不良の違いは「ザンビアンボーイズ」という紙芝居を見て理解することができます。見た目は普通に見えて、脳が空っぽなのが慢性栄養不良です。その影響として、学習力の低下や集中力の低下を招きます。これを見て生徒たちも大変興味を示してたくさん質問をしてくれましたので、彼らも危機感を持って慢性栄養不良を学んでくれたと思います。

ワークショップのテーマは「バランスの良い食事を自分で作ってみよう」で、昨日食べた食事をワークシートに書いてもらい、これまでに勉強したことと6つの食品群の役割を考え合わせ、明日の食事を書いてもらいました。書かれたのはザンビアの食事ですので、炭水化物はシマやポテト、プロテインのところは鶏やビーフなどです。ミネラルは骨や血液を作ると説明していたのですが、この機能について説明できる人と質問すると、歯も作るなどと答えてくれました。明日の食事について書いたことを説明してくれませんかというと、10人以上の人たちが積極的に説明してくれて、授業を楽しんでくれている様子でした。1日目は私たちが説明し、2日目は上級生に説明してもらい、私たちは理解できない生徒たちをフォローすることにしました。選ばれた上級生たちは初め戸惑っていましたが、ミーティングを重ねて私たちの熱意を伝えるうちに積極的に参加してくれるようになりました。最終日には、すべてのクラスで上級生が授業を進めてくれるようになり感動しました。

あまり関心を示さない生徒も見られましたので、今後も継続的に続けていく必要を感じました。上級生たちはどんどん積極的に教えるようになり、先生のように振舞って楽しそうでした。スピルリナをキャベツに混ぜて給食に提供した日があり、少しずつ実際の食事が改善される方向に進んでいます。
バウレニ小学校は、生徒数600人程度の私立の学校で生徒の自治組織が機能している学校でした。このプロジェクトの教材を使って栄養教育は現在も続けられています。