南スーダンの現状と当地でのAAR の活動

(2013/9)

講師紹介:名取郁子(AAR Japan 「難民を助ける会」支部長)

AAR Japan は、250人くらいの団体で、そのうち約140人が世界で活動しています。難民を助ける会南部スーダン事務所駐在代表として勤務した2年余りの経験をもとに、スーダンの抱える問題をお話ししたいと思います。

先ずスーダンの歴史から見ていきますと、紀元前2200年頃黒人によるクシュ王国の建国に始まります。その後エチオピア高原のアクスム王国に滅ぼされ、キリスト教、イスラム教の時代を経て、1821年にはエジプトによるスーダン北部の征服があり、1899年にはエジプトとイギリスの共同統治になりました。1924年には南北分断統治が始まり、1955年の第一次内戦、1983年の第二次内戦、2005年には南北包括和平合意が成立し、内戦の終結を見ました。2011年1月9日にはスーダン南部の分離独立の是非を問う住民投票、2月7日に分離独立が確定しまし、2011年7月9日にアフリカ大陸で54番目の国家として南部10州の「南スーダン共和国」が独立しました。

しかし今もスーダンとの国境紛争は激化しており、2012年4月に南スーダン軍がスーダンのコルドファンにある油田を占拠し、4月12日にはスーダン軍が南スーダンの都市を空爆し、死傷者が発生しています。国際連合安全保障理事会は、全面的な戦争に発展する恐れがあることから、両国に即時停戦を強く求めていますが、現在も南北境界線の領土分配をめぐる紛争が続いています。石油利益に依存する政府はまともな国家運営が出来ないままインフラの未整備、教育、医療、通信など、問題が山積しています。

南スーダンの人々は、19世紀以来一度も国家の恩恵を受けたことがありません。国家は常に軍事政権の暴力組織であって、普通の生活、平和と安定、飢えからの解放をもたらしませんでした。北部スーダンではイスラムを信じるアラブ人が多数を占めているのに対し、南スーダンでは伝統宗教とキリスト教を信じるアフリカ在来の民族が多数を占めていることも、独立運動が過激化した一つの理由ではあります。

AAR Japan「難民を助ける会」の具体的な活動をお話ししますと、先ず東エクアトリア州で125基の井戸を新設し、199基の既存井戸を修理し、4基の給水塔を建設するとともに、現地の人々が管理できるよう村ごとに井戸管理委員会を設立し、修理技術者の育成も行いました。同時にトイレの利用促進や手洗いなどの習慣の普及を行っています。また、簡易診療所3棟を建設し、地域医療や保健教育を担う地域保健員14名を要請し、小学校での衛生教育を促進しています。クリニックを訪れる患者の中で最も多いのがマラリア疾患ですので、マラリア予防教育や、かやの配布も行っています。安全な出産を助けることのできる助産師の育成も重要な課題です。

皆様の支援をお待ちしています。

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