旅行会社添乗員が見た約40年間のタンザニアの横顔

(2014/9)

講師紹介:池田裕子
35年間旅行会社に所属し,タンザニアのサファリツアー添乗などに携わる。

池田裕子と申します。堅苦しい題名になってしまいましたが、皆様はアフリカのことをよく御存じの方ばかりですので今更ということになってしまうかもしれませんが、足掛け40年にわたってアフリカにかかわって、特に動物が好きということもあってタンザニアのサファリを中心に仕事をしてきました。大学で獣医学を学び、特にネコ科の動物が好きです。

はじめてアフリカに行ったのは1975年で、そのツアーでのトラブルから添乗員の知識と経験が問題にされるようになった時期だったと思います。ツアーから帰ってきて1976年に西田先生のスワヒリ語講座を受講し、その後三鷹のアジア・アフリカ語学院でアラビア語とスワヒリ語を勉強しました。その後ケニアで半年間スワヒリ語を勉強し、旅行会社「道祖神」に入社しました。

タンザニアの首都はドドマですが、今でも経済活動など実質的にはダルエスサラームが中心のようです。サハラ以南の東アフリカでサファリと言えば、やはり旅行業界ではケニア、タンザニアということになります。タンザニアの主な国立公園は、タランギレ国立公園、ンゴロンゴロ自然保護区、セレンゲティ国立公園、マニアラ湖国立公園、セルー動物保護区、ルアハ国立公園、サーダニ国立公園、ミクミ国立公園、あとはキロマンジャロ山ということになります。最近は国立公園が整備されて入園料がどんどん高くなっています。ンゴロンゴロでいいますと、24時間で入園料が$60、クレーターが$60、帰ってきてまたかかりますので一人$150くらい必要です。キリマンジャロ$70、アルーシャのマニアラ湖が$45です。

やはり一番有名なのはセレンゲティ、ンゴロンゴロで、大手の旅行会社などは、ナイロビに着いてその足でンゴロンゴロへ行ってまたその足で戻ってきてサファリをするというような、超過密なことをやっています。道路が整備されたとは言ってもあまり無理なスケジュールはよくないと思います。

タンザニアはケニアに比べて国立公園は多くいろいろなサファリを楽しむことが出来ます。気になるのはセレンゲティの東の部分にアラブ首長国連邦が2006年頃、ゲームリザーブを作って私有地化していることです。国立公園内に施設を作ることは禁じられているにもかかわらず超豪華なロッジがあります。とはいえ今は経営が成り立たなくなっているようです。

キリマンジャロ山は、昔はケニアの方に入っていましたが、イギリスとドイツが国境線を引いたときにタンザニアには山がないからという理由で、今はタンザニアの方に入っています。西欧諸国の利害からこのように直線的に国境を引いてしまったために分断されてしまった民族がたくさんあります。マサイは、元は北方から南下してきて南アフリカまで移動したようですが、ボツワナのあたりまで来ていました。ンゴロンゴロはマサイと共存できるという意味でマサイの保全地域を含めて文化遺産に認定されています。

タンザニアは政治的に社会主義の国でしたので、孤立していて発展が遅れていましたが、自由主義国になってからは活発に動き出しており観光客にも満足してもらえるサービスの提供が出来るようになっています。ケニアは宣伝上手で、昔は観光業とサトウキビの生産で成り立っていたようなところがありますが、今は天然資源の利用もあってアフリカの中でもかなり優秀な国になっています。それに比べるとタンザニアはゆったりとしていて競争意識もないように見えます。タンザニア政府は北部よりも南部の方をこれからは発展させたいようです。北部はンゴロンゴロなどもあり、現地の力だけでもやっていけるわけです。

サファリの話に戻りますと、ンゴロンゴロの来年6月までの入園料は24時間で$60、クレーターに入るにはさらに$60払うとなっています。その他に宿泊料を払います。政府としては1人1泊$150にしたいといっています。セレンゲティは世界的に有名ですが、年に2回ヌーというウシ科の動物の大群がケニアのマサイマラを周回し、その間に川があり、やみくもに移動する様子が見られるため、これが観光の目玉になっています。

セレンゲティとンゴロゴロを分けたのはドイツのフランクフルト動物園協会の園長グジメックさんで、ヌーを保護するために分けたにもかかわらず今道路の建設のためにヌーの移動ルートに重なるような計画が持ち上がっています。3つのルートがあり、それもまだ決まっていません。動物保護団体の反対意見も多く、タンザニア政府は一度やめようという意向を示しましたが、一部建設が始まっており続行されています。これが出来ますとヌーの移動が困難になり、ケニアに住み着いてしまうことも考えられます。北ルートは全長547.1㎞、標高差が1537m、所要時間が7.9時間で、南ルートは全長628.3㎞、標高差672m、所要時間が7.8時間で多少短縮されています。北方ルートが支持されているのはその周辺都市の活性化という狙いがあります。

日本も道路建設には参画しており、以前造ったアリューシャ、マニアラ湖に近い所マクユニジャンクションからンゴロンゴロの公園口までのハイウェイがありますが、8年経ってもほとんどいたんでおらず、他の国が造ったものよりずっと快適です。公園内の施設も2002年くらいまでは昔の設備をそのまま使っていましたが、近年急速に整備されて案内板も英語表記になるなど大きな変化が見られます。

宿泊施設も植民地時代からのロッジが設備のいいロッジに代わっており、食事もバイキング形式で豪華になっています。ケニアには8つ気球を出発させるロッジがり、気球も大きくて38人くらい乗れて一人今$520です。朝食ボックスやランチボックスが用意されることもあります。タンザニアはセレンゲティで3か所くらいです。気球も以前は本当によく落ちていました。簡単に見えますが、着地するときに引きずられて籠が回転することもあります。

ヌーの移動は非常に大規模な命がけの大移動で、2月頃に行くと何メートルかおきにヌーの死体があります。またアフリカでは大きな虹と朝日や夕日が他では見られない美しさです。今問題になっているのは、ライオンは10~20年で絶滅するだろうと言われています。マサイはライオンの尻尾を切って勇者のしるしとして持ちます。政府に禁止されていますが今でも行われているようです。サイも角を切るために殺され、象の場合も同じです。チータも絶滅寸前で近親交配が進んでいます。ヒョウもあの美しい毛皮のために密猟されています。
とりとめのない話をしてしまいましたが、サファリの企画などはまだやっていますので何かありましたらご相談ください。