日本でアフリカを“伝える”ということ

(2018/7)

講師紹介

一橋大学社会学部の同級生で、4年生の時に初めて訪れたアフリカのタンザニアで結成した1987年生まれの3人組

南谷と申します。「日本でアフリカを“伝える”ということ」というタイトルでお話しさせて頂きます。どうしてSalmonsなのかときかれましたのでお答えしますと、私たちは流されやすい性格なので世の中の流れに飲み込まれないようにという思いでこの名前を使っています。まず自己紹介をさせて頂きます。

森田と申します。普段はメーカー勤務で2年前まで宮城の工場で管理会計をし、現在は東京で海外事業や会計業務に携わっています。

安村と申します。出版社で編集業務をしており、現在は中東部担当をしています。トルコ駐在を経て現在は出版社プロデューサーとして「アフリカ 希望の大陸」「トレバー・ノア 生まれたことが犯罪 !?」などアフリカに関する本も担当しています。

学生時代に初めてアフリカへ行きましたので何か伝えたいモードだったのかもしれませんが、アフリカのことを伝えたいと思いこの活動を始めました。同年代の学生に自分たちの感動を追体験してもらうことはできないのかと考えました。当時ゼミで伊集院静さんの「アフリカの王」という本を読む機会がありました。ケニアのサファリ中心の話なのですが、一度アフリカに行ったものはアフリカの手に掴まれるという一文があり、その言葉に心惹かれて4年生の夏休みに南アフリカとタンザニアに行くことにしました。南アフリカの商社の方にお世話になって、金属会社が支援している小学校を見学することができました。南アフリカはヨーロッパのような街並みで車も高級車が走っているのですが、その一方で車を持っていない人は貧しくスラムもあってギャップの大きさを感じました。次にタンザニアへ行きましたが、ゼミの男性が村の孤児院でボランティアをしていましたので、村の人の家にホームステイをさせていただき村の生活や時のゆったりした流れを感じて心洗われました。

この旅行での運命的な出会いは東アフリカのカンガという布になります。カラフルな色と大胆な柄で、好きなデザインに仕立ててもらうこともできます。布をそのまま体に巻いて用いたり、子供を包んで背負ったり、物を包んで運んだり、生活に密着したもので、一枚一枚の裾の方にはカンガメッセージと言われる格言やメッセージが書かれています。これがとても面白くて大好きになりました。当時50枚くらいスーツケースいっぱいに買い込んでしまいました。その時に感じたのはこんなに純粋に心奪われるものがあるのだということでした。大学で勉強していたアフリカは開発途上で貧しく援助を必要としているところだという印象でしたが、そういう固定観念から解放されて自由になれた瞬間でした。

帰国後その感動を家族や友人に伝えようとしましたが、アフリカの固定観念に阻まれてワクワクした思いを伝えることができず、それでこの活動を始めました。布の魅力を伝えるのが一番キャッチーでいいのではないかと考えました。布の美しさとカンガセイングをかみ合わせて何かを作りたいと思い、書かれている格言に沿って情景を思い描いた写真を撮ることを試みました。「あなたのことを知ってがっかりした」「私はあなたを捨てたけど心では忘れられない」などメッセージのイメージを写真にして、名古屋と渋谷で写真展を行いました。費用はクラウドファンディングを利用させていただきました。本音で言えない部分を身にまとって伝えるというところが日本の文化と通じるものがあるのではないかと思います。カンガセイングのメッセージにちなんだ演出を即興的に試みた写真を撮影しました。マダガスカルにもダンバーニというマダガスカル語のメッセージの入った布があって「好きだから離れない」という言葉にちなんだポーズで撮影しています。またその時の気持ちにあった言葉のカンガを選んで身にまとってもらって作品にしてみました。

次に、現地で感じたモヤモヤを共有して伝えたいということでしたが、この3人の仕事の拠点がばらばらになっていました。私は協力隊でカメルーンに、安村はトルコに駐在しており、森田は石巻市の工場に赴任していました。私はアフリカにキラキラしたものを感じていましたが、実際に行ってみると色々な状況があり、日本でのアフリカに対するイメージも現実とはかけ離れた思い込みがあるように思えました。そこで自分が現地で経験したことと帰国後に感じたことをあわせて活動を考え直すことにし、これを4コマ漫画にしてみました。シェアリングエコノミーとしてあいのり文化を描いてみました。これを作り始めた背景は、カメルーンに2年間住んでいて帰国後に感じたそれぞれの国の生きにくさを架空の人物を登場させて漫画にしています。テーマにしているのはシェアリングエコノミーなのですが、いろいろな物をシェアして最後まで使い切るところは結果的にエコになっているのです。バイクの3人乗りなどは無理ですが、帰国後はいまだに段ボールのテーブルを使っています。価値観の違いを伝えたくて描いたのが4コマ漫画です。

もう一つは国際協力隊でのモヤモヤと海外生活を文学のパロディで表現することで、これは安村が書いているのですが、「高慢と偏見」という英文学のパロディで元のストーリーは200年前の恋愛小説ですが、女性のプライドが高くてすれ違ってしまうお話です。こういうことはいろいろな場面でよくみられますのでこれを小説にしています。偏見の場面は舞踏会の場面で、海外編でも相手が悪口を言っているのがなんとなく聞こえてしまってプライドが傷つくとういうことになっています。

次に、純粋に素晴らしいと思ったアフリカの人を紹介したいと今取り組んでいます。アフリカの人が生み出したものを紹介するということで、アフリカ人が書いた本を日本で出版することを試みています。トレバー・ノアの「生まれたことが犯罪!?」という本が発売されました。混血であるために迫害され、その中で母親の強い意思が書かれています。「アフリカ 希望の大陸」というのは両親がナイジェリア人でアメリカに渡ってから、ジャーナリストになって自分のルーツであるアフリカの取材を重ねて起業家について書かれた本です。

私がカメルーンにいる間に知り合った女性起業家とのコラボレーションで、シアバターを作るプロジェクトに私が参加して商品開発と販路の開拓などをしました。トマトやアボガドを練り込んだ石けんを開発して地元でも喜ばれていました。そこで彼女の活動を紹介しながら日本で何かコラボレーションできないかと今考えているところです。だいたい以上3つのことをしてきました。

自分の感じたことに正直に立ち向かうことの大切さを感じているところです。アフリカの情報はまだ少ないですし、一般に伝えられていることに偏りがあるのは残念だと思います。

http://www.salmons-africa.com/
http://culture-shocks.com/

(2018/7)