西アフリカで出会う、民芸や作家もの

(2019/6)

講師紹介: 丸山有希紀子(まるやま ゆきこ)
アフリカ・アジアの民芸品輸入会社に勤務、
2019年より colophon folk art として独立。
西アフリカの民芸品や作家作品の販売を開始。
アフリカの民芸品やトライバルアート、さらに現代の作家作品の紹介をしています。

HP : http://colophon.jp/

丸山と申します。Colophon folk art として西アフリカの民芸品やフォークアートの作品を販売しています。アジア・アフリカの民芸品輸入会社に勤めていた時2013年にナイジェリアからコートジボアールにかけて仕入れに行ったのをきっかけに、実際に現地で見る作品に強く惹かれて、もう少し勉強したいと思い独立することになりました。

何が面白いかを中心に見ていくと、西アフリカの美しさを強くアピールしているのはマスクで、次にトライバルアートのテキスタイルや木彫品、真鍮の製品でした。現代アートも個人が作っている作品は現地の人が自分を表現する手段ですので、この二つを通してお話ししたいと思います。

トライバルアートはマスクや木彫で、自分たちの形や特徴を表現しているものが多いと思います。初めは美術史の研究や美術館で展示されているもので知られるようになったと思いますが、ヨーロッパの人たちが作品を見つけて持ち帰った時にその表現の仕方に驚いて、それを自分たちの表現に取り入れていったことで劇的に注目されていったのだと思います。一つ目がナイジェリア、ヨルバのイベジ人形などの木彫品、二つ目がガーナのアシャンティ族の人形、三つ目がコートジボワール、バウレ族のマスク、四つ目が現代の作家物になります。

木彫のマスクをよく見ますと、目の当たりにその民族の特徴が強調的にデフォルメされていることがわかります。現地の人と接しながらマスクを改めて観察すると、今までの知識が現実に現れた感じで腑に落ちました。イフェの地域で額が広く頬骨が出ていて目が一重に近く少しつり目の感じの人がいます。美術館の展示品の中にその特徴をよく捉えた作品に出会うことができました。種族によって骨格や目の当たりがそれぞれ違っていて、それがトライバルアートによく表現されています。額が広いのが美しいとされていて、美人と言われる人たちや人形にもよく現れています。極端なデフォルメのマスクもあって素晴らしいと思います。アフリカの人たちはヘアスタイルにとてもこだわりますが、部族によってその特徴が木彫の人形にも現れています。

次に現代作家の作品ですが、最初に取り上げるのはブルキナファソの女性作家でアドジャラトウ・ウェドラオゴ Adjaratou Ouedraogo さんです。36歳くらいの作家で、美術の勉強はしていませんが子供の時から絵を描くことが好きで、大学では経済を勉強して就職はしたけれど絵は描き続けていました。たまたま2003年に絵が売れたことをきっかけに絵でやっていこうと決めたようです。もう一人マイケル・ソイ Michael Soi さんは、絵を専門に勉強をしてケニアを中心に活動しています。きっかけはバッグに絵を描いたことで、それ以来活動の幅を広げています。

2000年以降の作家さんは日本にほとんど紹介されていなかったので、1900年代後半に活躍した方達とは違った感覚を持っていることを紹介したいと思いました。色に対する感覚も、インターネットで育った感覚が加わっており、今までとは少し変わってきていると思います。アフリカというと日本では一緒くたに考えられがちですが、西アフリカと東アフリカの違いも知っていただきたいと思いました。絵以外に民芸品なども置いて、民芸から現代アートを通して現地の人たちが自分たちをどう表現しているかを見ていただきたいと思い、この二人展を開催しました。

アドジャラトウは少しアウトサイダー寄りで、どういう風に描いているかは非常に興味深く、同時に4枚くらいの同じテーマの作品を描いてゆきます。自分を妨げる全てのものを腐敗させて、たまたま女性であるということの制約から自由を勝ち取るためにネガティブなものを取り除きたいと言っています。それに合わせて色彩も、いろんな色を混ぜながら4〜5枚のキャンバスに同時に取り憑かれたように描いてゆきます。題材としては日常の風景や身の回りのものを扱っています。彼女の絵は子供や女性を題材にしたものが多く、デフォルメされていて気持ち悪い感じもしますが、肌の色も自由に表現されていて、子供がこんがらがって遊ぶ楽しい感じがよく出ています。初めはもっと写実的に描いていたようですが、2000年頃から崩して描くようになり、同時に注目されるようなったそうです。今、西アフリカで3本の指に入るほどの作家で、精力的に活動しておりアニメ化もされています。アフリカの現代アーティストはヨーロッパやアメリカで活動することが多いのですが、彼女はブルキナファソにいてアフリカを中心に活動しています。

もう一人のマイケル・ソイさんは、去年8月に澁谷の文化村での展示会で感じたのは、トライバルアートとして自分たちの体の美しさや特徴を誇張してポップに表現しているのが面白いと思い、私も絵を一枚購入しました。テイストは違いますがアフリカの人が昔から表現している伝統的な表現をうまく取り入れて現代的に表現していると思います。首の長い美しい女性の絵が多く、政治的な絵や風刺画も多く手がけています。習近平さんも出てきます。あとはボディーペインティングをアートにしたものもあり、サングラスやヘアスタイルを誇張して表現しているところも特徴です。またお尻の美しさを表現しているのもアフリカの美意識だと思います。アフリカの人たちがどういう風に自分たちを表現しているかを掘り下げてみると面白いので、これからももっと広く紹介していきたいと思います。

現代アートのルーツはやはりトライバルアートで、その美意識や価値観を引き継いでいるものと思われます。この二つはクロスオーバーしているものなので分けて考えることはできません。西アフリカは音楽も盛んで、音楽も西洋のカルチャーとミックスされるところが多いのですが、何でもウェストナイズするのではなく自分たちの精神を維持しながら表現しているのを感じます。アフリカのアートを見る時音楽も含めて見ていただくと、アフリカの美意識と価値観がよりよく見えてくると思います。